New Year's Eve×5 ~壱成の長い1日~

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 カウンターで注文してトレイに皆の御所望のモノ全部乗せて戻って来たけど。 「あれ?――颯ちゃんは?」 「帰りはゆっくりできないからって、今のうちにプログラム買いに行った」 「ふぅん…俺は見せてもらってから買うかどうか考えよ…」 って出口の方見てたら。 「――あ。戻ってきた。妖怪むましかさんも一緒だね」 「『むましか』?」 「『おバカさん』の事」 「ああ。『うましか』か」 って聞こえるか聞こえないかの処で、アイダさんと颯ちゃんが俺達のテーブルまで辿り着いた。 「ごめんニノ!ルン君も」 「遅いよアイダさん。颯ちゃん貴方に放っておかれて大階段で壁の花だったんだからね?」 俺達が声かけなかったら、きっと色んな人にナンパされてお持ち帰りされてたよ? 「子供じゃないんですから…知らない人には着いていきませんよ」 苦笑いする颯ちゃんにアイダさんが手を併せて拝むように謝る。 「ゴメンね颯ちゃん。バックヤードにチケットを受け取りに行ってたら、スタッフさんとか役者さんとかとにかく色んな人に捕まっちゃって。電話もメールも返事できる状態じゃなかったんだって」 言い訳するアイダさんが。俺達のテーブルを見て驚く。 「ウソ――皆飲んでるの?」 「言っとくけどロックグラスは颯君のだからな?」 エルは、俺はまだ納得してないぞ、って口ぶりだ。 「颯ちゃん仕事は!?」 実はエルと同様アイダさんも凄くマジメだから。 「ですから、この量なら三時間もあればアルコールなんか抜けますから大丈夫です」 「ハイハイ、その議論もさっき此処では済んだ話だからね。もうあと30分しかないよ?早く食べて飲んで座らないと始まっちゃう。アイダさんも何か飲み物買っておいで?」 なんて、手をぶらぶらさせてアイダさんをカウンターまで追い払った。 「なんだ…アイダさんもコーヒーなの?」 カプチーノカップギリギリにまで入ってる白い泡が溢れないように、慎重に運んで戻ってきたアイダさんは。 三人分の皿とグラスが載って余裕がない、小さいテーブルの隅っこギリギリにソーサーを置いた。 「ホラ俺、飲んでも飲まなくても陽気になれちゃう人だから?今夜は要らないかな…」 なんて笑って有耶無耶に誤魔化すあたり、ガチで真面目に説教しちゃうエルとは違う。 温かいカップと氷が浮かぶロックグラスと、脚の高いフルールグラスをそれぞれ持ってとりあえず4人で乾杯。
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