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「『人前でやる必要無い』ってコトは。『俺だっておうちでだったらやってやる』ってコトだよね?」
ぐ、っと言い返すのに詰まった颯ちゃんに。
「今夜帰ったら、あーんでも口移しでも好きなだけアイダさんとやってください」
「いいな口移し…俺颯ちゃんのちゅーでお酒飲みたい・:*:・(●´Д`●)・:*:・」
ひとくちでくらくらしそう、なんて。
アイダさんはアルコール入ってないカプチーノで酔っぱらってるんじゃないかってくらいの爆弾発言を投下してきた。
「何バカ言ってるんですか貴方は!やりませんよ!?それに今夜は仕事でそちらには帰りませんからね!」
もうこれは…颯ちゃんは何言っても激怒しっぱなしのパターンに入っちゃったでしょう。
「――あれ?アイダさん。アナタ颯ちゃんとちゅーしたら気絶して記憶飛ぶんじゃないの?」
颯ちゃんの必殺技『忘却のキス』の威力は皆知ってるけど。
「実は俺最近耐性がついてきたみたいで、1分くらいのべろちゅーなら気絶しなくなったんだ(´З`)。まぁ相変わらず何してたのかは忘れちゃうけどね」
二人だけの密事をあっさりとアイダさんは喋っちゃうから。
「アサキオマエぇ!!!!!」
颯ちゃんがアイダさんの襟首を隣から掴んでこれ以上の爆弾投下を阻止しようとするから、テーブル上まで被害を受けないように。
エルと二人掛かりで足の高いテーブルを抑えて。グラスやコップも避難させる。
「ハイハイ颯ちゃん、公共の場で暴れなーい。せっかく隅っこの席なのに周りにばれちゃうよ?」
「~~~…」
掴んで伸ばしてたアイダさんの襟を手放して。屍のように大人しくなった颯ちゃんに。
「――そうそう、プログラム買ったんでしょ颯ちゃん。ちょっと俺にも見せて?」
「どうぞ…」
手を拭ってから受け取って。役者や脚本家演出家の写真や対談ページなんかテキトーにすっ飛ばして。
スタッフ一覧のページを開いた。
『衣装:間アサキ』
美術部・ヘアメイク・メイクの欄にもアイダさんの名前を見つけた。
「ちゃんと居た。しかも写真つき!初めてじゃない?」
「うん。俺今回人に関わるスタイリングは全般任せて貰えて。スタッフチームの中でもそれなりに責任者だったから」
プロットからじっくりやらせてもらえる仕事って初めてだったから凄く勉強になった、って。アイダさん嬉しそうな顔しちゃってもう。
俺もちゃんとプログラム幕間に買おう、って決めた。
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