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「――解ったよ。ただ成瀬が親父に知られたくないって思ってる事は汲んでやってくれないか」
「それは話の内容によります」
里親としては預かっている成瀬がどんな状況に居るのか把握するのが務めなんだろうけれど。
此処は俺だって譲れない。
「頼むよ。――俺もアイツがウチに居る間、真面目に面倒見てやるから」
珍しく俺が食い下がるから、少し驚いた顔をした親父殿は。
「――マサヒコ、領君が来てから御前も良い意味で、変わりましたね」
「変わった?何が?」
「領君を『同居人』程度にしか見ていないと思っていましたが。――もう御前は領君を適当には扱わないと決めたんでしょう」
御前は小さい頃から、面倒臭い事と自分の利益にならない事はやらないというのが徹底していましたから驚きました、とまで親父殿に言われてしまっては苦笑いするしかない。
「俺の事はどうでもイイだろ。今日の事は俺が全部話すから、成瀬に問いたださないって約束しろよ」
「御前がこれから先も領君のことを気に掛けてくれるというのなら、その約束に乗りましょう」
「――解った」
俺はとりあえず、今日あったことと成瀬が話した事は全部親父殿に情報として与えてから。
「親父殿。ひとついいか?」
「何ですか」
「アイツもしかして。今まで住んでた処全部でこんな調子だったのか?」
「――あの子は心が幼いように見えて実際は、良い意味でも悪い意味でも既に『独り立ち』出来ています。集団の内に居る事に馴染めないんでしょうね」
今までも『問題を起こす』というよりは、周りから浮いていて扱いに困る、というのが実情のようです。
「仲良しグループ作って給食喰ってるお年頃の癖に『独り立ち』出来てるなんて…下らねぇし糞ッ喰らえだな」
「身も蓋も品も無い言い方をするんじゃあないよ、マサヒコ」
「――悪い」
「でもまあ。私も御前と考えている事はそう変わりません。仲良しグループでべったりしろということは言いませんが。あの年頃で孤高の存在というより、浮いてしまっているのは余り得策とは言えませんからね」
「あー。それなら…心配しなくていい。心辺りがある」
ひとりこういう事にうってつけの知り合いが居る。
成瀬よりも扱いが良くわからない、ほぼ「宇宙人」と呼ぶにふさわしい天然さの持ち主のそいつに頼んで。
現状を打破して貰おうか。
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