序章

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俺とリュウの出会いは突然だった。 俺の生まれ育った村は、アジャン大陸南西部の端、海に面した葉麻村というところだった。 俺の爺ちゃんが村長で、親父のいない俺にとって爺ちゃんが親父みたいなものでもある。 まぁ、もう一人、親父みたいな人もいるけど。 そんな爺ちゃんが、俺が八つくらいの時、古い知り合いから預かる事になったとかで、同い年くらいの男を連れてきた。 それが、大島竜翔(オオシマリュウショウ)だった。 最初は暗くてなに考えてるかわかんない奴だったけど、仲良くなるのに時間はかからなかった。 それから、何するのもリュウと一緒だった。 後から聞いた話だけど、リュウは近くにある大島城って城に住む城主の長男だそうだ。 でも、後を継ぐ事はできないらしく、産んでくれた母親は死んで、義理の母親からは嫌われてるらしい。 リュウは何でも話してくれるけど、難しい話は分からないし、正直、そんな事よりも今日をどう楽しく過ごすかってことの方が大事だった。 とにかく、リュウが家に来てから毎日がさらに楽しくなった。 子どもが少ない村で、年の一番近い友が五つも年上じゃあ、面白くないことも多い。 そんな面白くないことも、リュウと二人で楽しく過ごした。 一度、年上のそいつを二人で懲らしめたこともあった。 そんなこんなで、時折喧嘩するものの、ずっと二人で楽しくやってきた。
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