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そんな事を思い返しながら走っていると、村が見えてきた。
俺は全速力で村の中に駆け込む。
木と藁で出来た家が多い中、その家は石と石の隙間を魔物の体液などで埋めた頑丈な造りになっていた。
しかも、周囲の家の3倍はありそうな建物で、薄いキラキラと輝く水色になっているので、村の中でも特別な建物だと一目分かる。
全く速度を緩めないまま、扉を蹴破るようになだれ込む。
「リューー!!出てきやがれっ!決闘だぁ!」
俺は力の限り叫ぶと、鼻息を荒くして宿敵が現れるのを待つ。
すると、後ろから殺気を感じ、振り向こうとする瞬間、
「扉を蹴らない!靴は脱げ!家で叫ぶなー!」
星が舞った。
頭のてっぺんに衝撃が走り、耳鳴りがするほどの大声を至近距離で受けたことにより、目の前がクラクラとなる。
致命傷かどうかは定かではないが、俺は死ぬということだけは確かだ。
ゴツンと拳骨がもう一発落ちた。
「言われたらさっさと返事!!」
「わ、分かったよ。ごめんよ母ちゃん」
突如、母ちゃんの両手が俺の首に伸び、そのまま絞殺さんばかりに絞められた。
「へぇー、そうなんだ。私は母ちゃんなんだ。いつもそう呼べって言われてるんだ?」
青筋を浮かび上がらせた笑顔でささやく。
「は、母上様、申し訳ございませんでした」
やっとのことでそう言うと、解放された。
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