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私は一浪してこの大学に入った。現役時代、数学の試験で始めの合図と共に無残に終わった事をバネにして、一年間ひたすら勉強に打ち込んできた。あの時、数学の答案用紙をめくった時の絶望感を形容する言葉はこの世に存在しない。
大学に入学するまではバラ色の、ひいてはピンク色のキャンパスライフを思い描いていた。いや、出だしは悪くなかった。新入生オリエンテーションにも参加したし新入生歓迎スポーツ大会にも参加した。私の交友関係はカンブリア爆発の如く一挙に広まり、電話帳の中ではよく覚えていない人のメアドと名前が踊った。とにかく、後はどこかメジャーなスポーツのサークルにでも入れば必ずや見覚えのある人が一人や二人いるはずだから、その人たちと仲良くすれば有意義な大学生活は保障されたようなものである。
ところが。
ところがである。私ともあろう者が、入るサークルの選択を誤ってしまったのである。さすがの私も大学に入学できて浮かれていた感はいなめない。その一瞬の油断に妙トンチキな連中にカサカサと付け込まれ蟻地獄の底へと引っ張って行かれてしまった。この物語は、これから大学に入学する後輩諸君に向けた忠告でもあるのだ。
まずは何故そんなサークルに入ってしまったのか、その経緯から話していきたい。
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