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先ほど「プロローグ」において大学生活におけるサークル活動の重要性を熱弁したものの、大学生の本分というのは勉学である。「単位」というものは無償で支給される訳ではなく己の手で勝ち取るしかない。現代資本主義社会の縮図である。時には土下座も必要だという。しかしながら、同級生の皆さんは一体どういうつもりかバカみたいに寝るのである。成長期も終わったお前らに、どうして昼寝が必要だろうか。中学受験に向けて寝る間もない小学生に分けてやるのが良い。
そういう訳で私は彼らに一抹の侮蔑をくれてやりながら必死にノートを取っていた。だが、一学期が開始されて早々にεーδ論法を前にして私の脳みそは悲鳴を上げ始めており、クラクラする頭を絶妙なバランスで維持することが要求された。私はようやく理解した。彼らは寝ているんじゃない、倒れているんだ、と。
何らかのサークルに参加すれば必ず過去問という先輩方の努力の結晶が手に入る。ここにも真面目に勉強するよりも先輩を頼る方が効率がいい、という正直者がバカを見る現代社会の片鱗が見て取れる。しかし、サークルへの正式な参加はまだ先であるから急場しのぎ的に参考書が必要となった。
私はまだ慣れぬ新天地の探索も兼ねて、町の本屋に繰り出すことにした。
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