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「………え?」
僕は反応に遅れた。
何体かの小型のアラガミは大きな口を真っ赤に染めて食べていた。
それから気付く。
床にこぼれているのは絵の具じゃなくてみんなの血だと。
そして目の前にいるアラガミはみんなを食べている。
――に、逃げなきゃ。
僕はいつの間にか震えていた足を動かそうとする。
しかし、足は動いてくれない。
――逃げないとみんなみたいに食べられる。
朝にみんなと一緒に食べた朝食の風景を思い出した。
お喋りをしながら食べづらいトウモロコシを食べた光景を。
仲がよかった友達に花を取ってくると言って好きだった子にがんばってねと言われて嬉しかった事を思い出した。
けど、みんなアラガミに食べられた。
ただの食料として食べられている。
たった1時間で全てが変わった。
――先生、マリヤ、フレッド、トウマ、アルク、そして大好きだったアリアは居なくなったんだ。
するとアラガミ達が僕に気付いた。
タッタッタと近付いて来る。
でも足は動いてくれなくただ震えるだけ。
――だ、ダメだ。食べられる。
そう思った瞬間僕は生きることを諦めた。
目を強くつぶる。
僕もみんなみたいにただの食料になるんだ。
――今から僕もみんなの所に行くよ。いや、この場合はこっちの逝くよが正しいかな?
と、最後にどうでいい事を思っていた。
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