0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ーしかし、そうと開き直ってしまえば、あとはもう、前進あるのみ。
「そうともさ。俺はここに、恋愛をしに来たわけじゃない。
勉強をしに来たわけでもない。
燃えるような青春を探しに来たんだ!!」
放課後。
誰にともなくそう唱えながら、竣介は荷物を背負って校舎を駆け出た。
一目散に校舎の端までたどり着くと、そのまま裏手へ回る。
校舎裏の中央。
校舎とは反対側に、少し下れる道があり、そこを降りて行くと
二つの建物が見えた。
左手は、古い体育倉庫。コンクリート製ではあるが、
あちこち崩れていて、正直閉じ込められたらかなり怖い。
もう一方。
右手にある建物は、絵にかいたような安物のプレハブ小屋。
周りを木々に囲まれた、風の影響の少ないこの場所でない限り
台風が一度来ればひとたまりもないような建物である。
竣介は、その建物の引き戸を開けると、一礼して中へ入る。
「こんにちはーっす!!…って、まだ誰もいないか。」
広さは、普通教室より一回り小さいくらいだろうか。
畳が敷き詰められただけであれば、この広さで事足りるが、
四方には生徒の荷物やトレーニング器具を入れるためのロッカー棚や
大型のトレーニングマシン、マットなどが所狭しと場所を
とっており、実質的に活動可能な範囲は7割ほど。
ケガ防止のため、壁には畳が立て掛けられている。
これが、堂田中学校「柔道場」である。
最初のコメントを投稿しよう!