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―――此処はとある男子校。  都内でも有名であり、設立されてからも数十年は裕に越えている立派な学校である。…のだが良い意味で有名だったらば関係者等は鼻が高い話。 残念ながら良い意味とは程遠く専ら柄が悪く不良等が通う荒れた学校、と言った悪い意味で有名なのだ。 最近は男子校や女子校も共学へと方針等を変えていたりする所が多いが、此処は設立当初から今でも変わらずの男子校。 おまけに殆どの生徒が中等部から持ち上がりの為、中等部から続く閉鎖的な環境も重なり同性愛者成る生徒達が多い事でも有名である。 お世辞にも爽やかとは言い難い場所に、ただ一人男性にしておくには勿体無い容姿端麗な生徒が居た。 見る者からすれば美少年とも美少女とも思える芸能人顔負けの謂わば、閉鎖的な環境の中で咲く一輪の薔薇の様な存在。 ―――結祇凛  それが此処荊錠学園に咲く一輪の貴重な薔薇であり、癒しに飢えた生徒達を束ねる女王様であった。 そんな今日も変わらず何処を見ても男子ばかりの荊錠学園に、少し遅れて一人の生徒が転入して来たのだ。 人を見た目だけで判断や区別をしてはいけないと、ある程度の家庭で教わる事…だが不良生徒が大半を締めている此処では、そんな常識は理不尽にも掻き消されてしまう。 だから当然、見た目からしてか弱そうであったり真面目な生徒は弱味を握られやすい。 早くも校舎裏では転入一日目にして、数名の生徒等に囲まれた眼鏡を掛けた人物が顔を青く染めている。
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