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 折角の転入生脅かさないでよね、と稀伊太に向けて念を押すような笑顔を向ければ静かに健から後退る。 そういえば劉也はどうしたのかと聞けば、どうやら提出物を出さなかった事への注意の為に呼び出された劉也を見送った後、凛の姿を探して此処にやって来たらしい。 常日頃から稀伊太は凛が心配だと言っては学校に居る限り必ずと言っても過言では無い程、ベッタリ。 稀伊太だけならまだしもそれに加えて劉也も稀伊太同様、入学当初以降毎日飽きもせずに一緒に居るのだった。 「あ、こいつの名前は朝浦稀伊太。俺と同じ三年だよ」 「結祇先輩と朝浦先輩…で良いですか?」 「俺は別に呼び捨てでも気にしないんだけど…健にとってはそっちのが良いかもね?色んな意味で」  そう言いながら凛がチラッと稀伊太の顔を見ればにっこりと笑顔を向けて来るも、興味無いかの様に再び健へと視線を戻した。 笑顔を無視されたにも関わらず怒ったり不機嫌になるでもなく、寧ろ何処か嬉しそうに凛を見つめている。 もしあそこで二人の名前を知った健が凛の事を呼び捨てにでもしえいれば、恐らく…と言うより、間違いなく無事では済まされなかっただろう。 転入初日にしていきなり初対面の生徒に財布を奪われ殴られそうになるわ、助けてくれた人物は同じ男子生徒とは思いがたいとんでもない美人であったり、おまけにその人物の後を追っかけて来た人物も美形であり…と早くも目が回りそうな内容の濃すぎる一日だ。 と言うより此処でこんなことをしている時間ではないことを、健はふと思い出した。 「ああ!!」 「…え、何?」 「あの、えっと!職員室って何処にありますか!?」 「職員室?ああ、成る程。あそこの建物見える?…入って直ぐの階段を上がったら右手に職員室だよ」
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