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明け空は溢れんばかりの透明な水を湛えた泉の様だ
それは決して干上がる事のない深く澄んだ泉
その見えない水底深くに沈んでいるのは
やる瀬のない思いが幾層にも積もって出来た澱
鏡の様な水面を風が揺すぶる
積み重なった澱は崩れかけると、そのまま水の中へと溶けてゆく
混沌の中
ある筈もない道標を手探りで探す
やがて
自分のため息で出来た澱に飲まれ
沈んでゆく
溺れていると言う自覚もないままに
光から遠退いてゆく
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