午後の微睡み

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微睡みの波が静かに打ち寄せる午後 胸の奥のつかえがふっと取れて無くなる それはいつかの日々の澱 そして記憶と共に刺さったままの小さな棘 確かなものは傷痕となって残り 不確かなものは未だやんわりと疼く 失なったものは自分自身 これから失なって行くものも やはり自分に他ならない そして失ない続けた自分は何処へ行き着くのか 今と言う時の繰り返しに 思い出は深く眠る かつての日々は過ぎ去って行き かつての自分を連れ去って行く 時は流れる事なくただ消えて行く そして残された「今」もやがて幕を下ろす いつか微睡みの中で 解放される時が来るのだろうか 微睡みは時に永遠 それは泡沫の中に見る事の出来るとこしえ 止まるまで動き続けなければならない世界の宿命 同様に虚無の中の小さな灯火は消えるまで灯り続けてゆかねばならない 時は不安定であるが故に揺れ続ける     微睡みの午後 今と言う 永久の夢をみる                 
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