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「智…ごめんなさい」
夜景が綺麗に見える店の一番よく見える席を予約し、ムードばっちりで食事を進めながら『さあ、今から言おう』と決心した途端、出鼻をくじかれた。
「えっと…何が?」
「私…他に好きな人ができて……ごめんなさい。別れて…欲しいの」
「へ…誰?俺の知ってる人?」
ああ…きっと、まただ。
これで何人めだろ?
「ユウ君…なの」
いつも最後には『ユウ君が好き』って言われてしまう。
結局、おまえもかよ…
「あっそっ…いいよ。べつに…」
「本当に…ごめんなさい」
「“いい”っつってんだろ!!」
“ドンッ”と勢いで叩いたテーブルの上で、皿やスプーンなんかが“ガチャガチャ”っと高い音をたてた。
荒らげた声に周囲は一斉に俺達を見る。
「ご…ごめ…なさ…」
彼女はいたたまれなくなったのか涙を流しながら席を立ち、逃げるように店を出て行った。
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