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「そういや…もう一年になるのか…」
夜道を一人歩きながら、俺は元彼女を思い出していた。
「アイツの誕生日に食事して、プロポーズしようとしたら…フラレたんだよなあ。俺って…可哀想だったよなあ」
俺は肩を落とし『はあ~』と長いため息を吐いた。
「何でフラレたんだっけ…?えっ…と、確か…好きな人がいるとかなんとか…」
たまたま通りかかった映画館の前で俯いていた顔を上げ、何気なく中を覗いてみた。
今度上映予定の映画の宣伝だろうか…
大きなスクリーンに次々と慌ただしく映像が流れ、大音量で聞こえてくる。
「ふーん…『脳男』か。『日本映画史に残る、 もっとも美しきダークヒーロー誕生!』ねえ。生田クンは確かにカッコいいけど…美しいって形容はアイツの方が…」
“アイツ”…って誰のことだっけ?
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