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「わたし、ステイマーくんに嫌われてる」
ぽつりとこぼした言葉にネッセルローデくんが反応してくれた。
「そんなのことない。アディはアリーセちゃんのこと好きだよ。アリーセちゃんを嫌うやつがいるわけないじゃないか」
「でも、仲直りできなくてごめんなさい」
辛くてたまらない。
わたしがいなかったら仲直りできたのに、わたしがいたからステイマーくんは怒ってしまった。
「本当にごめんなさい。どうしたらいいんだろ……」
「あの調子だから絶対すぐに仲直りできる。だから心配しなくていいし、ありがとうアリーセちゃん」
ネッセルローデくんの笑顔を見るのも悲しい。
わたしはこのまま遊ぶ気にもなれなくてネッセルローデくんとばいばいした。
とぼとぼと歩いてるとお姉ちゃんが彼と歩いてるのを見かけた。
お姉ちゃんは家族に狼だと言い張っている銀髪の男性。でもあの人は人間。
人間と知られると別れさせられるからってお姉ちゃんは言ってた。でも彼には自分が魔女だと伝えてないみたい。
お姉ちゃんがわたしに気づいて手を振ってくれた。彼も手を振ってくれる。
「アリーセ、直接会うのは初めてじゃない? 彼はビョエルン。ビョエルン、私の妹のアリーセよ」
「アリーセちゃん、はじめまして。こんなに小さな妹だったのか」
ビョエルンさんはわたしに手を差し出してくれる。
「アリーセ、握手よ」
「あ、はい!」
反射的に手を出して握手する。大きくて固い。
ステイマーくんとダンスで手を繋いだときはわたしより小さくて柔らかかった。男の人は大きくなったらこうなるのかな。
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