わたしは魔女で彼は人間

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 地下水路の出口の一つにわたしの家がある。地下にあるこっちの玄関に降りるとすぐに玄関が開いて膝たけの妖精が出迎えてくれた。  代々家に仕えてる玄関の精で、地下の屋敷の全てを把握しているらしい。  地上は人間向けに他の人間の家と似たような形になってる。2階建ての家。わたしとお姉ちゃんの部屋もある。  地下の食料庫を隔ててこの地下側の家になる。  パパの実験もわたしの魔術の宿題もこっちの部屋でするし、この地下の家の方がずいぶんと広い。  でもわたしは地上の方で過ごすのが好き。パパやママも普段は地上にいてくれる。  わたしのフォルケル家は魔女の中でも由緒ある家で、その主流だって。  だから余計に親戚はステイマーくんを認めてくれない。 「占いをしてあげる」  お姉ちゃんはわたしの手を引いてお姉ちゃんの地下側の部屋に連れてってくれた。  地上でのお姉ちゃんの部屋は大きい女の人が読む服やお化粧の雑誌とか、音楽のCDとかで溢れてる。  こっちは違う。  お香が焚かれてて古めかしい布で部屋をディスプレイしてる。  わたしの部屋はどっちも同じだけど。上の部屋にはベッドと机とクローゼット。下には机と魔術の儀式の服と。  でもどっちにもステイマーくんの写真を飾ってる。遠足でみんなも写ってるけど。 「アリーセ、お待たせ」  気がつくとお姉ちゃんが真っ黒なローブを着て立っていた。机に黒いシートを引いて上に石とカードを置く。
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