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「でも両想いになれるの? ステイマーくんもわたしのことが……?」
お姉ちゃんの言葉を思い返して嬉しくなる。
ずっと好きだった。ずっとずっと、みんながステイマーくんのことをかっこいいって言う前から。
「ネッセルローデくんと仲直りはわたしが頑張る。1年かかっても仲直りしてもらうの! ありがとう!」
部屋に戻る。地下じゃなくて地上の方。
塾の宿題はまた後で。今からは明日ステイマーくんに渡すお手紙を書く。
大好きって伝えたい!
「おはよ、アリーセ」
「あ、おはよ、アギー」
結局いい言葉も浮かばないまま手紙を書けずに学校に行くことになった。
いざ書くとなると緊張する。
「アリーセ、今日の体育はバスケの試合だって! 選手が張り出されてる!! 見に行こ!!」
アギーじゃない子に手を引かれた。バスケの試合!
ステイマーくんが絶対に選手に選ばれてる。それでステイマーくんが絶対にかっこいいシュートを見せてくれる。
わたしは楽しみで仕方がなかった。
「あいついねーぜ」
「娼婦の子に神聖な試合は無理なんだろ」
いつもステイマーくんと喧嘩してる二人がボードの前で笑ってた。
ステイマーくんは大人だから喧嘩したってすぐにスルーする。傷を広げずに黙って立ち去るのがすごく素敵で。
「ほんと。アディいないわ」
ステイマーくんを好きなその子が残念な口調で言う。
ステイマーくんとは名前で呼び合うくらい仲が良いけど、いつも一緒にいるわけじゃない。
わたしと変わらない。
ボードを見て、一人一人確認するけど、ステイマーくんの名前はなかった。
「……アリーセちゃん、ちょっと」
ネッセルローデくんがわたしを呼ぶ。心なしか表情が暗くて、具合が悪そう。
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