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ネッセルローデくんはわたしを呼んだ後、なにも話さずにロッカーの角に歩いていく。わたしはそれを追いかけた。
「ネッセルローデくん?」
「アリーセちゃん……アディが」
話そうとして顔色がいっそう悪くなる。
「保健室に行く?」
「いや、行かない……。聞いて、アディとアディの親父さんたち3人が……」
息をつまらせる。よく見ると具合が悪いんじゃない。
ネッセルローデくんは泣いていた。
「死んだんだ」
「え?」
言葉が聞き取れなくて聞き返す。
「いや、アディは分からない。ご両親は昨日、あのキャンプ先で殺人鬼に襲われて亡くなってしまったんだ」
何度も喉に詰まりながらもネッセルローデくんはわたしに説明をしてくれた。
「森でキャンプしてて、最初にアディたち家族を襲った殺人鬼は、森に遊びに来てた別の町の女の子も襲ったって。でもその子と一緒に来てた男の人が特殊部隊の軍人で、殺人鬼を取り押さえた。女の子と男の人は腕や手に怪我をしてるけど無事。でもアディのご両親は亡くなって、アディ自身も意識がないくらいの重体で……」
「な、んで……?」
わたしの言葉でネッセルローデくんはうつむいて泣き始める。わたしは、ついていけなかった。
昨日電話で声を聞いた。
一昨日はまた来週ってばいばいした。
「今アディくんはどこに……?」
「その特殊部隊の男の人の町にいる。そこが森から近いのと、あまり動かしたら死んでしまうからって。アディの伯母さんがそうしてもらったって言って……俺、アリーセちゃんに伝えたくて……学校は休むよ。お葬式の手伝いとか……アディの部屋の掃除を……帰ってきたときに埃まみれは嫌だろうから……」
ネッセルローデくんはそのまま近くにいるネッセルローデくんのお父さんに連れられて帰って行った。
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