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わたしは帰る理由はなくて学校に残る。本当はネッセルローデくんを手伝いたい。でも、ステイマーくんと仲が良いわけじゃなくて。
なんでなにも出来ないんだろうと苦しくなる。
ステイマーくんのいないバスケの試合も、二人のいない教室も、ステイマーくんの事件を告げる先生も、全部他人事みたいにわたしの気持ちが閉ざしてしまう。
ステイマーくんと喧嘩してる二人がずっと真っ青な顔でいた。ステイマーくんの事件を聞いてから。
アギーもそう。
教室のみんな、泣いてるのに、わたしの目から涙が一度も落ちなかった。
「アリーセ、大丈夫?」
アギーは学校が終わってわたしに駆け寄ってくれた。
「え? あ、うん……」
わたしだけ泣いてない。わたしだけ冷静。大好きなステイマーくんのことなのに、わたしは。
「顔色が……」
アギーはわたしの頬を触る。
「保健室に行く?」
なんで?
わたしが冷たいから?
わたしは魔女だからみんなみたいな気持ちがないの?
「アリーセ!」
アギーの声も他人事みたい。遠い。
気がついたわたしの目は白い天井を見ていた。白の天井に規則的に開いてる黒い小さな穴がすごく大きく浮き上がって見える。
隣にはアギーとステイマーくんと仲の悪い二人がいた。
「フォルケルさんが倒れて……」
アギーと二人でここ、保健室に運んでくれたらしい。
「フォルケルさんも他の女子と同じでステイマーのことが好きだって今聞いた」
「だからおれたちがステイマーのことをいじめてた時ににらんできてたんだ……」
いじめてた?
喧嘩してたんじゃなくて?
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