わたしは魔女で彼は人間

2/22
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「また来週!」  チャイムと同時にみんな立ち上がって鞄を持つ。  わたしは一歩遅れて鞄の中に教科書を入れた。 「落としてる」  顔を上げると微笑んだ彼がわたしに消ゴムを渡してくれた。 「ありがとう、ステイマーくん」  ステイマーくんと目を合わせずに消ゴムをもらう。  ステイマーくんの金髪が夕陽に映えてすごく綺麗。瞳は深い緑色で、吸い込まれそうだから目が合わせられない。 「フォルケルさん、また来週」 「あ、うん、じゃあね!」  手を振るステイマーくんに手を振り返す。 「アディ、待てよ! あ、アリーセちゃん、今晩電話してもいい?」  わたしの後ろの席から声がした。ステイマーくんと小さな頃から仲良しだっていうネッセルローデくんがわたしに笑いかけてくれる。  アディくん。心の中でしか呼べないステイマーくんの名前にわたしは微笑んだ。 「ネッセルローデくん、ばいばい。夜、電話待ってる」  ネッセルローデくんと電話をしてステイマーくんのことを聞くのが日課。毎日遊んでる仲良し同士で、わたしがステイマーくんのことを好きって知ってるから相談に乗ってくれる。 「ネッセルローデくんはかっこいいし、アリーセも可愛いからお似合いね。私がアリーセのために恋の魔術をかけた甲斐があったわ」 「アギー!」  アギー。アグネス・ヴィテチェク。おまじないとかに傾倒するわたしの親友。  ただ、わたしがネッセルローデくんと付き合ってるって勘違いしてる。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!