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「また来週!」
チャイムと同時にみんな立ち上がって鞄を持つ。
わたしは一歩遅れて鞄の中に教科書を入れた。
「落としてる」
顔を上げると微笑んだ彼がわたしに消ゴムを渡してくれた。
「ありがとう、ステイマーくん」
ステイマーくんと目を合わせずに消ゴムをもらう。
ステイマーくんの金髪が夕陽に映えてすごく綺麗。瞳は深い緑色で、吸い込まれそうだから目が合わせられない。
「フォルケルさん、また来週」
「あ、うん、じゃあね!」
手を振るステイマーくんに手を振り返す。
「アディ、待てよ! あ、アリーセちゃん、今晩電話してもいい?」
わたしの後ろの席から声がした。ステイマーくんと小さな頃から仲良しだっていうネッセルローデくんがわたしに笑いかけてくれる。
アディくん。心の中でしか呼べないステイマーくんの名前にわたしは微笑んだ。
「ネッセルローデくん、ばいばい。夜、電話待ってる」
ネッセルローデくんと電話をしてステイマーくんのことを聞くのが日課。毎日遊んでる仲良し同士で、わたしがステイマーくんのことを好きって知ってるから相談に乗ってくれる。
「ネッセルローデくんはかっこいいし、アリーセも可愛いからお似合いね。私がアリーセのために恋の魔術をかけた甲斐があったわ」
「アギー!」
アギー。アグネス・ヴィテチェク。おまじないとかに傾倒するわたしの親友。
ただ、わたしがネッセルローデくんと付き合ってるって勘違いしてる。
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