3人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしは二人をじっと見つめた。二人とも顔をそらす。
「ステイマーのやつ、ちょっとバスケが上手いからって女子に人気があってうざかったんだ」
「それに優しいおばさんがいて、参観のときとかいつもみんなに優しくて、だから俺らはわざとあいつの母親は娼婦だって言いふらしてやったんだ。トイレでいじめたりもしたのに」
そんなこと……。ステイマーくんは全然いじめられてるような感じじゃなかった。
「あいつの表情が日に日に暗くなるのが面白かった。人気者を叩き落とした気分になって」
「でもあんなことになるなんて思わなかった。綺麗なあのステイマーのおばさんが死んだって? おじさんはほとんど知らないけど……」
二人はまた泣き出す。わたしはうつむいた。
ステイマーくんがいじめられてることにも気付かなかった。
きっとネッセルローデくんは知ってたはず。だから休み時間は守るように一緒にいたんだって思う。
ステイマーくんが好きだって言ってるのに、そんなことにも気付かないで、ただいつも笑顔でいるステイマーくんしか見てなかった。
「アリーセ」
アギーが手を握ってくれる。
「アリーセ、しばらくお休みしたら? アリーセが帰ってきたらステイマーくんも帰ってるかも。……アリーセがステイマーくんを好きってようやく知った。ごめんね、ネッセルローデくんと勘違いしてて」
「ううん。アギーが色々気にしてくれて嬉しい」
知ってる。
アギーはわたしを優先して自分がネッセルローデくんを好きだってことを隠してた。なのに否定をしてなかった。
ステイマーくんと両想いになれないのだったら、好きだって知られたら恥ずかしいとか思ってた。
最初のコメントを投稿しよう!