わたしは魔女で彼は人間

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「ステイマーくんとはお話はできてるの?」 「今日、消ゴムを拾ってくれたの。また来週ってバイバイできて」  ママが家に帰るまでに色々聞いてくれる。話すたびにステイマーくんの笑顔とか思い出せてすごく幸せになれる。 「それでね、ネッセルローデくんがまたステイマーくんのことを教えてくれるって!」 「ネッセルローデくんも優しいわ。幼稚園の時から仲良しよね」  ネッセルローデくんとは幼稚園で同じ組になって、そのネッセルローデくんと生まれたときから仲良しっていうステイマーくんのことを知った。  わたしが砂でお城を作ってて、いつも崩れて泣いてたらステイマーくんが水をかけて固めてくれて。魔法みたいだった。 「アリーセはステイマーくんが大好きなの?」 「うん。とっても!」  でもお誕生日を忘れるなんて……。泣き出したい。  家に帰ると、お姉ちゃんがもう帰ってた。  お姉ちゃんはもっと大きい子の行く塾に行ってる。それにとっても賢くて、すごい魔女になるってみんなに褒められてる。 「アリーセ! おかえりなさい」  にこにこと笑うお姉ちゃんは、玄関先で靴箱の上に飾っている雑貨を並べていた。  お姉ちゃんが言うには、何事にもキリツというのがあって、乱れると上手くいかないって。だからすごく細かな調整のために目についたものから何時間でもかけて並べ直す。  わたしの部屋に入られたら、一ヶ月は出てこないかも。
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