Bitter Sweet Irony

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なぁ、たつー。 …やけど、なぁ。 ホンマ何度目やろ。 やっぱり僕の呼びかけにうんともすんとも返答なし。 ……… 夕方の猛吹雪が嘘みたいに雲の晴れてきた露天風呂に並んで浸かりながら、あんまりにも反応ないもんやから。 まさか目ぇ開けたまま寝とるんやないかて表情の動かない鼻っ面に、近くの雪のカタマリ掴んで押し当てたった。 そのままゆっくり数える… 1、2、3、4、5… 「………っ!?冷たっ!!」 遅っそ!その脳神経到達スピード、恐竜並みか! 「…うー、ひどいわ、やす…。」 たまらず飛び上がって赤くなった鼻、お湯で温めてる。 …ひどいのはどっちやっちゅーねん。
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