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正確な本の名前は思い出せないが、確か「僕にはあまり友達がいない」的な名前の文庫本だったことは覚えている。
ん?と思わず、僕は手にとってしまった。僕だけでなくこんなタイトルを見せられれば思わず手に取るかその中身について考えを巡らせてしまうのは致し方ないことだ、友達がいない主人公がひたすら惨めな学園生活を送るなどといったそれだけでご飯3杯はいけるような不幸話なのか、はたまた仲間の協力を得て一人づつ友達を増やす涙涙の青春友情ストーリーなのか、その謎を秘めたタイトルに危うく財布の紐が緩みかけたが、僕はそっとその本を棚に戻した。
「いるならいいじゃん――」
そう僕には友達があまりいないどころではなく“いない”。
一人もいない、皆無だ。
もちろんそれには理由がある。「いない」というのも正確な表現ではないのかもしれない。
「できない」のではなく「つくらない」いや、「つくってはいけない」そう、僕は友達をつくってはいけないのだ。
この件についてもまあ、また後々話をするとしよう。
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