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私は真っ白な部屋に閉じ込められていた。
ここはどこだろう?
いつもの生活感溢れるアパートの一室ではない。
まったく知らない部屋だ。
家具はひとつもない。
ドアや窓すらなかった。
ただ汚れのない白い無機質な壁が私を囲んでいるだけだった。
私は壁に触れてみた。
こんなに不気味な白を私は初めて見た。
シミはなく汚れもない。
しかし、それ故に人間味がなかった。
まるでこの世の全てを無くしたかのようにそこには虚無感だけが残っている。
私はのっぺりした気持ちの悪い白に嫌悪感を抱いた。
ここから出よう。
このままここに居続けると気が狂いそうだ。
私は壁に触れてみた。
かなり硬い。
殴ったら逆に手が裂けそうだ。
足で蹴ってもびくともしなかった。
壁を壊すのは無理そうだ。
徒労。
そんな言葉が頭に浮かんだ。
しかし、何かやってないと私自身が壊れてしまいそうだ。
それほどまでにこの何もない部屋の不可解は私の精神を蝕んでいたのだ。
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