佐吉さんとお夕さん

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始めは動物かと思ったが人だと気付き、それはそれは驚き川から引っ張りあげ、息をしていると分かるや否や家に連れて帰り看病を続けてくれていたのだという。 「でも、ほんまよかったわぁ。元気になったみたいで」 「ご心配と大変ご迷惑をお掛けしましたっ!!………その、お二人に助けていただいていなかったら…わたし……っ」 その先を考えるだけでぞっとして、なんとも言えない恐怖に襲われる。 「そんなんええって。助かったんや、よかったやないの」 お夕さんのあたたかさに触れ、何か熱いものが込み上げてきた。 「助けてくださって本当にありがとうございます。感謝しています、看病までしていただいて…本当にありがとうございます」 泣きそうなのが自分でも分かった。でも御礼がどうしても言いたくて、考えていたわけじゃないけど畳みに手をついて正座していた。 頭を下げる私にお夕さんはただぽんぽんと頭を撫でてくれた。 潤んでいた涙が一粒落ちて畳みに染みを作っていた――
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