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最初は物珍しくキョロキョロと見渡しているだけだっだが、いつの間にか手当たり次第に本を開いては読み、開いては読みと、繰り返し………気付けば辺りは暗くなっていた。
「っやば!……はやく帰らないと!」
読みかけの本は名残惜しかったが元の場所に返し、荷物を引ったくるようにして店をでようとした時だった――
「お嬢ちゃんや―」
「………え?」
声のした方へ振りかえると、そこにはひとりの老人が立っていた。
「…………あの、何か?」
「いやぁ、随分熱心によんどったけ、邪魔したらいけんなぁ思って声かけんかったけんどな」
「…………はぁ…?」
にこりと微笑み、のほほんとした雰囲気を漂わせ、老人は私に提案をしてきた。
「もしよかったら、ここでアルバイトっちゅうのせんかのぅ?」
それがおじいさんと私の出会い。働きはじめたきっかけだった。
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