私と古本屋の関係

3/6
前へ
/12ページ
次へ
最初は物珍しくキョロキョロと見渡しているだけだっだが、いつの間にか手当たり次第に本を開いては読み、開いては読みと、繰り返し………気付けば辺りは暗くなっていた。 「っやば!……はやく帰らないと!」 読みかけの本は名残惜しかったが元の場所に返し、荷物を引ったくるようにして店をでようとした時だった―― 「お嬢ちゃんや―」 「………え?」 声のした方へ振りかえると、そこにはひとりの老人が立っていた。 「…………あの、何か?」 「いやぁ、随分熱心によんどったけ、邪魔したらいけんなぁ思って声かけんかったけんどな」 「…………はぁ…?」 にこりと微笑み、のほほんとした雰囲気を漂わせ、老人は私に提案をしてきた。 「もしよかったら、ここでアルバイトっちゅうのせんかのぅ?」 それがおじいさんと私の出会い。働きはじめたきっかけだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加