私と古本屋の関係

6/6
前へ
/12ページ
次へ
「それは『時を越える術』を知っているんじゃよ」 ………………は? ずずっと一口麦茶を飲んで衝撃的なことを言い出した。 この人は大丈夫だろうかと思ったのは云うまでも無い。 「まぁ、詳しいことはわしもよくは知らんのじゃ。……みやびちゃんが行くからには何かしら理由があるんじゃろう」 知らないんだ…というかどうしてそんなに落ち着いて喋ってるんですか 事態についていけない頭を抱える。私はどうしたらいい?時を越える?………ショートしそうだよ 「なにがなんだか、よくわからないんですけど…」 誰かこの状況を理解して一から説明してほしい 「選ばれたのだから行かなくてはならんな」 言い終わると同時に本のまわりを風が包む。 「っ!!」 次第に風は私の身体までを包み、なおも広がりを続けていく。 ほれっと投げられた何かを反射的に右手で掴む。 待って、まだ話が………!! 一層と大きくなった風とともに、その場から私は消えた。 霞んでみえたのは憎たらしく手を振っているおじいさんだった――
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加