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「それは『時を越える術』を知っているんじゃよ」
………………は?
ずずっと一口麦茶を飲んで衝撃的なことを言い出した。
この人は大丈夫だろうかと思ったのは云うまでも無い。
「まぁ、詳しいことはわしもよくは知らんのじゃ。……みやびちゃんが行くからには何かしら理由があるんじゃろう」
知らないんだ…というかどうしてそんなに落ち着いて喋ってるんですか
事態についていけない頭を抱える。私はどうしたらいい?時を越える?………ショートしそうだよ
「なにがなんだか、よくわからないんですけど…」
誰かこの状況を理解して一から説明してほしい
「選ばれたのだから行かなくてはならんな」
言い終わると同時に本のまわりを風が包む。
「っ!!」
次第に風は私の身体までを包み、なおも広がりを続けていく。
ほれっと投げられた何かを反射的に右手で掴む。
待って、まだ話が………!!
一層と大きくなった風とともに、その場から私は消えた。
霞んでみえたのは憎たらしく手を振っているおじいさんだった――
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