佐吉さんとお夕さん

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◇◇◇◇◇◇◇◇ 「―――――!!」 「―――起きい、娘はん!!」 …………だ、れ? 激しく肩を揺らされる振動で私は目を覚ました…… …が、鉛の様に重い身体に全身が物凄く寒い。指先はもはや感覚が無かった。 冷たい……寒い… 視界に写るのは一組の男女。 どちらも酷く焦っているようで男の人はずぶ濡れで、女の人は私に呼び掛けている。 「あかんっ、どないしよう!?」 「家に連れて帰る!早くしないと凍え死んでしまうぞ」 大丈夫です、って言わなきゃ。心配かけてる… 女の人の服を引っ張ると何かを感じとったのか顔を近くに持ってくる。 「だい……じょう、ぶ ………です…………か、……ら……」 小さくかすれた声で言うと私はまた意識を失った。
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