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「わかったわよ、美容院探してんの!
髪の毛切りに行きたいわけ、わかった?
どっかいいとこあるなら教えてよ」
なげやりにそう言えば、さとしは目を丸くした後、何かを思い付いたようにニヤリと笑った。
「な……なによ」
「お前さ、もしかして俺の職業知らねぇの?」
――職業?
こんなやつのことなんか、一ミリも興味ないから知るわけがない。
「なによ、急に……
知らないけど?
忙しくてあんまり休みがないって、お母さんが言ってたのは聞いたことあるけど……」
ふふふん、と鼻で笑ったさとしは、相変わらずの上から目線で私をを見下ろした。
「今からウチ来いよ」
「は?何言ってんの?
あたしの話、聞いてた?
これから美容院に行くって言ってんじゃん!」
怪訝な顔で噛みつくと、さとしはイラついたように私を睨み付ける。
「だから!俺が切ってやるって言ってんだよ!」
……は?
何?こいつ……ふざけてんの?
「絶っ対!やだ!
なんで素人に切ってもらわなきゃなんないのよ!
店知らないんなら、あたしもう行くから!」
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