それは始まりの音

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私は玄関の鍵を閉めると歩き始める 行き先は学校ではなく、お母さんのお墓 毎朝お墓参りに行くようにしており、一種の通学路になっている ちょうどお墓が、学校と家の間に位置しているため、すぐに行くことができる 朝ということもあり、お墓は光をたくさん浴びて光っていた 私は迷うことなくお母さんのお墓のまえまで行くと既に飾ってある花を見る お父さんが飾ったのだろう、お母さんの大好きな〈チューリップ〉がたくさん入った花束になっている 私はゆっくりお墓の前でしゃがみ、昨日のお話や日常のお話をお母さんに聞かせてあげる お父さんも同じように話したとおもうけど、私はお父さんの知らないところを報告する つまりは学校や友達のお話をする そうして朝の時間を少し過ごすと、お母さんにまた「行って来ます」と伝えて、学校に向かう
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