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「……ん…」
暖かくて気持ちいい。だけど何だろう、この拘束感は。
………―――――。
「……ぅ、ん……」
………――――。
「…ぅん……?」
「……。…ぁ、あれ…?」
違和感に気づいて目を開けると、そこはさっきまで居た場所でもない。そして自分の部屋でもない、見知らぬ部屋だった。
そうして何故か寝ていた布団から起き上がろうとして――。
「……動けない」
自身が何故か縄でグルグル巻きに拘束されていることに気づいた。このままでは上手く起き上がることが出来ない。
何度目かの挑戦の後、諦めて枕に頭を埋める。
(……ここ何処だろう。どうしてこんなことに…)
「起きているか。入るぞ」
その時、聞き覚えのない声と共に一人の男性が入ってきた。
黒い長髪を肩の辺りで一つに束ね、黒い小袖を身にまとった彼は、紗代の隣で膝をつくと感情の読めない瞳で紗代を見下ろした。
「………………」
「……あの…?」
「…あんたは、巫女か?」
「…………は?」
**************
「率直に訊く」
結局。何が何だか分からないまま手首以外の縄は取り去られ、そのまるで犯罪者のような状況下で目隠しをされながら別の部屋へと私は移された。
目隠しを外されると、そこには既に何人かの人たちが集まっていて。
その好奇な視線から目を逸らしながら、紗代は居心地悪そうに部屋の真ん中へと腰を下ろした。
「お前は何処のもんだ?」
「…え?」
部屋の前側…と言えばいいのか。皆の目の前に座る二人のうち、短い黒髪の目つきの鋭い男性が口を開いた。
「何処、と言われましても……。北海道の…」
「…北海道…?」
紗代の言葉にもう一人の、色素の薄い長髪を無造作に垂らした男性が首を傾けた。
「北海道、とは?」
「………………え?」
――どういうことだろう。この人たちはどう見ても日本人にしか見えないのに、北海道を…知らない…?
お互いにハテナを沢山浮かべて困惑していると、彼らから少し離れた位置に座っていた男性が口を開く。
「…やはり。この方こそが巫女なのではないでしょうか」
「……いや、しかしだな、山南さん…」
目つきの鋭い黒髪の男性が困ったように頭を掻く。
――どうやら。今、口を開いた優しげな雰囲気の茶髪の男性は“山南さん"と言うらしい。
「土方くん。私の占術はよく当たる、とあなたが一番よく知ってるはずでしょう」
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