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そしてカラ館、実にベタだが気にはしない。
わたしと響は一曲も歌う事なく他愛も無い話をしていたが…、
わたしはこの二時間でタバコを一箱分吸ってしまった。
だが、そんな事より、
『東京って可愛い子多いね。でも結ちゃんが一番タイプなんだけど!』
響は初対面のわたしを必要以上に、口下手に、ベタ褒めする…。
確かにわたしは異性には容姿を褒められる事が少し多い。
だが、容姿を褒められて嬉しくなかったのは人生で初めてだ。
(ん?携帯金色だ…)
わたしはふと響の携帯に目をやった。
金色の携帯を持っている人はわたしの周りには居ないので、
『携帯、ゴールドなんだね?』
そう何気なく言ってみた。
『俺、昔から携帯はゴールドって決めてるんだ!』
(まぁ、そういう人もいるよな。わたしなら金色は選ばないが)
勿論初対面の人間にこんな事は言えない。
だが後日談になるが、響のマンションにはピンクの携帯が置いてあったのだ。
響はどうでもいい嘘から壮大な嘘まで付く男だと、
わたしは後に知る事になる。
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