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紫
「寝ているの?ふふ……私よりお寝坊さんね」
神社に足を踏み入れた紫は、独り言なのか霊夢に話しかけているのか判らないような口振りで話しだす。
紫
「霊夢、今日は大事な話をしに来たのよ」
紫は霊夢に近づき話を続けるが、彼女は全く起きようともしなかった。
紫
「いつから貴方は変わってしまったのかしらね。やはりあの日のせいかしら」
紫のこの言葉で、ほんのわずか、霊夢の体が反応した気がした。
紫
「それからの貴方は修行と妖怪退治を繰り返すだけの日々。……たまに白玉楼に行っているみたいだけど……以前のように遊んだり、神社でゆっくりしたり、お茶を飲んだり、何より笑うことをしなくなってしまったわね」
霊夢
「…………」
紫
「……今、幻想郷は崩壊しつつある。人間と妖怪のバランスが崩れ、博麗大結界も壊れかけている」
そこで紫は言葉を切り、一瞬表情を歪ませた。
紫
「……ねぇ霊夢、今日は何の日か判る?今日で貴方二十三歳になったのよ?……私はずっと霊夢が立ち直ってくれると信じて今日まで耐えてきた。でも……もう……」
紫の目からはぽろぽろと涙が零れ落ちていった。その時、霊夢は体を起こし、話し始めた。
霊夢
「……紫」
紫
「!!ああ霊夢、やっと私の話を聞いて……」
霊夢
「……私のいうことを聞きなさい」
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