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紫が……私を……。
Z
「…さて、この作業は数週間続きますからね。また時を進めて……」
Zの言葉を遮るように、私は彼の前に手を出した。彼は少しびっくりして私の方を見る。私は口を動かして言葉を伝えようとした。
このままでいい。
Z
「…………」
Zは一瞬黙ったが、すぐに前の方に向き直った。
Z
「……まぁこの世界では空腹も睡魔も襲ってきませんし、あなたがそうしたいと言うのならそうしましょう」
私も前に向き直り、じっと紫を見つめた。彼女のこめかみから汗が光って見えた。私達はとても長い時間、ずっと彼女らを見続けていた。
──────
────
──
何日経った日だろうか、突然神奈子が紫に話しかけた。
神奈子
「……なぁ紫」
紫
「……何かしら」
神奈子
「今更だが、お前は本当にこれが正しいことだと思っているのかい?」
紫
「…………」
神奈子の問いに表情を変えることなく黙々と紫は作業をしていた。
紫
「……ホント、今更ね」
神奈子
「協力しちまった私もおかしいとは思うがね。お前みたいな賢い奴は、こんなことはしないと思ってたんだが」
紫
「……そうね、なら私はもう賢くなくなってしまったのだわ」
藍
「…………」
神奈子
「どういう意味よ……?」
紫
「……あなたも同じ気持ちなんでしょ、神奈子?」
神奈子
「……ふん、食えない奴だ」
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