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学校に到着し、教室に入っても、例の話題から逃れることはできなかった。
様々な憶測が連鎖的に発生・複合し、中には世界征服の可能性をあげる者もいた。
平和な現代での軍事強化は、よほど不自然に感じられた為だろう。
「久遠~ お前も何か情報持ってないか?」
リーダー格の男が人だかりの中から声をかけてきた。
周りの生徒も一斉にこちらを向く。
「いや、特にない。わるいな」
登校中の異変については言わなかった。
今回の軍事強化のニュースと、サブカルチャー規制の噂は、時期的にずれているからだ。
後者が噂になったのは、一年も前のことだった。
「あー まぁ何かあったら教えてくれ」
男は、心底残念そうな顔をして、自分たちの議論に戻った。
他の生徒も興味を失ったように背を向けた。
「とりあえず、他のやつらにも聞いてみるか」
久遠はひとり席を立ち、かばんを持ったまま教室をあとにした。
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