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小さな電子音がトイレの個室に響き、携帯が起動したことを告げる。
この学校は携帯を持ってくることを禁止している為、こうして人がいない場所に移動しなければならない。
もっとも、この校則を守っているのはほんの一握りの生徒だけなのだが。
久遠は携帯依存症だった。
自覚もある。携帯を持たない時間は殆どなく、学校でもこうして休み時間を消費していた。
IDとパスワードを打ち込んだ後、なれた手つきでユーザーネームを入力し、スレッドを見る。
他のユーザーも学生が多いので、新たな書き込みは少ない。
画面をスクロールさせなくても全てのコメントが見られることは珍しくなかった。
「ん…やっぱり…」
コメントにさっと目を通す。
そこに書かれていることを内容は、久遠の心の中を表すようだった。
ホビーショップなどが閉まっていること、いつもより人が少ないこと……
それらは、久遠の悪い予感を確信へと変えた。
確実に何かが起こっている。噂が現実へと転化されつつあることを久遠は恐怖した。
その時、携帯の画面が更新され、新たな書き込みが追加された。
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