14人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか? 俺にはわかんねぇな」
後ろを歩く生徒の1人がそう答えた。
あくまで感覚的に少ないと感じているだけなので、わからない人もいるのだろう。
生徒は、辺りをきょろきょろと見回して具体的な異変を探している。
「んー 例えば…ほら、いつもなら彼処のフィギュアショップに並んでる人がいないし、向こうのゲームショップだって……」
いつもいる人物がいない。
おかしいのはそれだけではないような気がして、久遠は少し立ち止まった。
フィギュアショップへと向けた視線を遮り、先ほどの生徒が横切っていった。
ショップの中に人気は無く、ただ薄暗い店内に幾つもの商品が浮かび上がって見えるだけだった。
いつもなら、開店前に棚のチェックをするフィギュア好きの店長がいるはずなのだが……
『どうやらサブカルチャーは全面禁止になるらしいぞ』
『オタク狩りするらしいね』
久遠の脳裏に今朝のやり取りが浮かんだ。
「…まじかよ、アレ」
嫌な予感がして、思わず呟く。
通行人が何人か振り返ったが、それを気にする余裕もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!