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「俺、ここに引っ越してきたばかりで道に迷ったんだ。だから大通りまでの道を教えてくれよ」
「方向音痴なんだ~。しょうがないなぁ、案内してあげるよ」
そう言って私が草を払いながら立ち上がると彼も立ち上がった。
「じゃ、行こっか」
歩きだしたところで私はとある疑問に思い当たった。
「そういえば、名前は何て言うの?」
「こういうときは聞いてきた方が先に言うもんじゃないか?」
「どうしようかな~。案内するの止めようかなぁ~」
私がそう言って立ち止まると、
「わ、悪かったって。俺の名前は坂井雄飛だ」
私が満足気に頷いて歩き出すと彼は追いかけてきて言った。
「そういうお前は何て名前なんだよ?」
「…お前?」
「……。そういうあなたは何と言う名前なのですか?」
クスッ。
ヤバ。笑いそう…。
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