怪しい不動産屋

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平成19年の3月20日金曜日、神奈川県足柄下郡箱根町強羅にある旅館の住み込み仕事お休みの日。この小説の主人公ツッチー23歳女は、住み込み仕事に別れを告げる3月末までに格安で借りられるアパート若しくはマンションをここ、東京都板橋区板橋で探そうとしていた。何故、ツッチーのヤツが新宿や池袋や目白でなく板橋で部屋を見つけようとしたのかというと家賃が前述した場所より安いのは勿論のことだが、それよりも重要なのは、板橋にはマルイという名の激安店があるのだ。そこは個人経営のお店なのだが毎日、人参、ジャガイモ、玉ねぎがそれぞれ一本20円、一個20円、1玉20円で販売されている。また、マルイは日用品なんかも売っていて例えば洗濯洗剤の価格は某大型スーパーなんか敵じゃないほど安い。下手すりゃ同じグラムで200円も違うんだから某大型スーパーでなんかバカバカしくて買えやしない。 板橋に生活の拠点を置いて、夕飯のおかずはマルイで調達。消耗品もマルイで買えば、食費その他雑費は大幅に抑えられ、自ずと貯蓄が増えていくだろうという目論見がツッチーにはあった。
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