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ある女子社員の証言。
「携帯電話の調子悪いんですよねー。変な声が混線したり」
別の女子社員。
「家出ようとしたら何故か靴が無くて。飲み会行きたかったなー。靴? それがお風呂場にあったんですよ」
ワンルームマンションの一室。部屋の片隅には洋服ダンスがあり、その上を塞ぐように、可愛らしいドールハウスが置いてある。そこにちょこんと座る、黄色い髪のドールの膝には、その髪と同じ色のヒヨコのオモチャが、またちょこんと座っている。
一人暮らしの男はその部屋で、最近女子社員の間で話題になっている怪奇現象について考えていた。
不倫がバレて〇〇した女子社員の呪いだとか、刑場跡にオフィスビルを建てたとか。そんな、根も葉もない噂もあった。
ドールを愛でながら男は思う。そんな馬鹿な話あるか、と。そうしていると、日付も変わろうという時刻なのに、携帯電話の着信音が鳴った。
「あ、夜分遅くにすいません。終電無くなっちゃって。……泊まらせてもらってもいいですか?」
同じ課の女子社員。すぐ近くの駅にいると言う。
「今から? いや、それはまずいだろ」
「駄目……ですか。 あれ? あ、彼女さん居たんですね……」
男は少し考え、「彼女? 俺彼女なんていないぞ?」と言う。
「え? あ、テレビですか?」
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