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テレビはついていない。
「お、おい。からかうなよ。ただでさえ最近変な噂聞くのに」
ドールが趣味なんてバレたら会社に居場所が無くなる。かといって隠す場所も無い。考えをめぐらす男だったが、せっかくのチャンスは逃すしか手がなかった。
「車出すよ。家まで送ってあげるから」
「本当ですか? さすが主任! 駅で待ってますね」
男は電話を切るや否や、大きくため息をついて呟く。
「これじゃ彼女できても家に呼べねーな……」
男が玄関から出て行く。ドアが閉まる音の後、誰もいない真っ暗な部屋で、こんな声が聞こえた。
「作らせるわけないじゃない。彼女なんてできたら誰が私を可愛がるのよ」
駐車場では、何故かエンジンが掛からない車に苦戦する、男の姿があった。
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