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男は火のついてない煙草をくわえたまま、車から降り、ペンライトで足元を照らしながら、洋館の門の前まで来た。
車から出た男のシルエットは背丈175センチ前後だろう、しかし逞しいというよりどこか線の細さを肩のあたりに感じさせる。
男は洋館をペンライトであちこち照らしてみる。
闇夜に浮かび上がった洋館は、手入れを全くしていないのだろうか、門は錆び、赤茶けたレンガは朽ち剥がれ、門から建物の扉へ続く、小さな庭には雑草は延び放題のようだ。
そんな洋館の雰囲気を見て男は呟く…。
「ずいぶんと年季の入った建物だな…化け物でも出そうだぜ…くわばらくわばら」
まるで散歩にでもきたようなゆったりとした足取りで、錆びた門を押して、洋館の扉へ向かっていったのだった。
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