1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
扉の前まで来た男は、扉をためらわずに開ける。
扉を開けたとたん、室内から流れ出した冷気に首をすくめる。
真っ暗な室内を照らしてみる。天井の高いホールになっており、右手には二階へ続く階段、正面には奥に続くと思われる扉があった。奥に続く扉からはうっすらと光が漏れている。
朽ちた外観からは、想像もつかないくらい室内は整然と、そして整頓されているようだ。
しかし異様なのは、天井からつりさがる多数のつららと、室内の温度。
真冬とはいえ、外の温度は室内につららができるほどではなく、そこはまるで冷凍庫にでもいるような感じだった。
男はトレンチコートの襟を立て、奥への扉へ進む。
扉のドアノブをつかんだ時、男は違和感を覚え、サッと離した。
ドアノブが凍りつき、固まって回らなくなっている…。
何度か回そうと試みたが、全く回らないようで、男はため息を1つつく。
首を2、3度鳴らすと、息を深く吸う。
そして息を鋭く吐き出すと共に、ノーモーションで、凄まじいスピードで扉を蹴る。
扉は蝶番ごと奥の部屋に吹っ飛ぶ。
男はまたゆっくりと奥の部屋に入って行くのだった。
最初のコメントを投稿しよう!