夜のおつかいver.1

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扉の前まで来た男は、扉をためらわずに開ける。 扉を開けたとたん、室内から流れ出した冷気に首をすくめる。 真っ暗な室内を照らしてみる。天井の高いホールになっており、右手には二階へ続く階段、正面には奥に続くと思われる扉があった。奥に続く扉からはうっすらと光が漏れている。 朽ちた外観からは、想像もつかないくらい室内は整然と、そして整頓されているようだ。 しかし異様なのは、天井からつりさがる多数のつららと、室内の温度。 真冬とはいえ、外の温度は室内につららができるほどではなく、そこはまるで冷凍庫にでもいるような感じだった。 男はトレンチコートの襟を立て、奥への扉へ進む。 扉のドアノブをつかんだ時、男は違和感を覚え、サッと離した。 ドアノブが凍りつき、固まって回らなくなっている…。 何度か回そうと試みたが、全く回らないようで、男はため息を1つつく。 首を2、3度鳴らすと、息を深く吸う。 そして息を鋭く吐き出すと共に、ノーモーションで、凄まじいスピードで扉を蹴る。 扉は蝶番ごと奥の部屋に吹っ飛ぶ。 男はまたゆっくりと奥の部屋に入って行くのだった。
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