紅き獣が欲したモノ

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 紅が揺れた。  あの飴玉と同じ色のピアスは、鎖に吊られ彼の右耳の下で揺れる。 「何を見ている?」  あの飴玉と同じ色をした瞳は、欲望に揺れる。 「……」  あの飴玉と同じ色をした螺旋は、彼の胸元で揺れる。 「……貴方の色、でしょうか」  感情の揺れを感じさせない声は、ゆっくり彼の問いに答える。 「お前が、か?」  彼の喉は音を立て、笑う。 「感じている、が正しいですね」  その言葉に切れ長の美しい瞳が細められた。  彼の鼻先が彼女の首筋に掛かる髪を払い、埋ずめられる。 「……いいか?」  形ばかりの問いかけで、彼女が抵抗しないことを確かめる。  首筋に彼の熱い舌が這い、何かを探す。  ぴたりと止まり、舌の代わりに固く鋭いものが触れる。 「……っ!」  一瞬の痛みの悲鳴を殺す。跳ねた体は彼の腕によって押さえられる。  耳に響く水音。  存分に彼女を感じ、ゆっくりと離れて行く。  古城の主は満足そうに笑い、その傷口をするりと撫でる。 「次は……」  あの飴玉と同じ色をした雫が、彼の牙で揺れる。 「どうして欲しい……?」
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