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千草はその場に立ち尽くす。
今のはいったい、なんだったのだろうか。
分かるのは、小瓶に入っていた飴玉を託徒の指によって食べさせられた、ということだ。
託徒の手元を見なかったおかげで、あの色は見ていない。
そのせいか、嫌悪感は驚くほどにない。が、それ以外のものが色々とまずい。
「……それにしても」
屋上に誰もいなくて良かった。そうでなければ、学校は阿鼻叫喚。放課後はお嬢様方からの体育倉庫へのお呼び出しが確定だ。
いつの間にか予鈴は鳴り終わったのだろう。校庭のざわめきは無くなり、校舎内に人の気配が戻っている。
もうすぐ本鈴が鳴る。
千草は本を拾
い、託徒が出て行ったのと同じ扉を開き校舎に入っていった。
誰も居なくなった屋上に扉の音だけが響いた。
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