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突然、鼻腔を突くようなニオイがした。
「……っ!?」
このニオイは…!俺は馬車の窓から身を乗り出し、外を見た。
「今度はどうしましたの?」
「リザ、あそこらへんって確かリルフォートだったよな?」
俺はリザにある方向を指差した。
「……?ええ、そうですけど…っ!?」
俺達が見たものは
立ちのぼる黒煙
「まさか、リルフォートで何かが…!」
驚愕しながらもリザが言った。十中八九そうだろう。
リザと俺は顔を見合わせると、互いに頷いた。
「ハジメ、私は先にリルフォートに向かいます!」
「了解。すまん、馬車止めてくれ!」
と、馬車は急ブレーキ。リザは止まるか止まらないかというときに席を立ち、外に出た。そして何かを唱え始める。
「風の精よ
リザライズ・ランセルが
契約に基づき
命を下す!
我に風の翼を!」
その瞬間、リザの周囲に突風が渦巻いた。突風は少しずつリザの背中に集まって行き、妖精の羽の様な形の翼を作り上げていく。そして、風が完全に収まった頃にはリザの背中に、透き通った綺麗な羽が生えていた。
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