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少年が席を探している間にとうとう集合時間になってしまった。
少年は無言で教室の前でバキバキ板チョコを食べている若い男性に目を向ける。
「ギリギリアウトだな、まあ座れよ」
そう言って若い男性はカカオ1000%と書かれた違和感しかない板チョコを食べきった。
少年は礼をしてから席に座ろうとするが、後ろから聞こえてきた声によって動きを止めた。
「まったく、あんたがそこで突っ立っているおかげで、私まで遅刻しちゃったじゃないのよ!」
少年はめんどくさそうに感じたため、無視をすることに決めた……のだが。
「無視するな~」
そう言いながら後ろの少女がポカポカと少年の背中を叩く。
「お前ら、イチャイチャしてないでとっとと座れよ」
そして、若い男性が悪ノリしてきた。
「イチャイチャなんてしてないわよ! あんたに良い眼科を紹介す……」
「五月蝿い」
急に若い男性が腕を振りかぶって少女の口に向けて何かを投げた。
それをモロに口に入れてしまった少女は必死に吐き出そうとしたが、急にそれを止めて4、5回噛み砕いて飲みこんだ。
「これ、きのこの山じゃないのよ! どういうつもりなの?」
「罰として与えただけだ」
「なんで罰になるの?」
「俺が……たけのこ派だからだ」
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