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エリカが周りの反応をよそに早々と座った為、赤髪の少年の番になった。
少年は何も言わずに立ち上がり、制服のポケットから片手で持てる大きさのノートを取り出し、書き込み始めた。
その合間に今まで見学していたクレアが彼の代わりに口を開く。
「ああ、こいつは訳あって話すことができないんだ。意思疎通は筆談でしてもらうからよろしくな」
クレアが言い終わってすぐに、少年がペンを動かしていた手を止める。
''得意属性は雷です。よろしくお願いします''
短い紹介だったが、彼はこれくらいしか書けるものはなかった。
貴族たちは基本的に平民を格下の存在だと思っている。
貴族の子供である学園に通う生徒たちは、産まれた時から人の上に立ってきた。
自分はなにもせずとも地位を上げたいと考える者たちが、自分の顔色を窺い貢ぐ。
それも貢ぐ者は大人から子供まで。
貴族とは、本来ならば自分よりも弱いものを守る代わりに報酬を貰うという平民とのちゃんとしたギブ&テイクのもとで成り立つ一種の職業だった。
だが、最近の貴族はろくに民の安全を守ろうとせずに税金だけを取り上げる腐った貴族に成り下がってしまった。
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